1.ブレーキオイルが必要な理由

ブレーキは「油圧」といわれる仕組みを使い作動しています。ドライバーがブレーキを踏むと、ブレーキオイルに圧力がかかりピストンが押されます。ピストンを押し込んだ際に、その力を油圧でブレーキパッドなどに伝えることでタイヤを止めるという仕組みです。
この圧力をブレーキ部品全体に伝えるのがブレーキオイルです。ブレーキオイルが正常にピストンを押すことでブレーキキャリパーやブレーキパッドに高い圧力がかかり、ブレーキが作動します。
車検の検査項目のなかにはブレーキに関する項目がありますが、ブレーキオイルの劣化は関係するのでしょうか。
本記事では、走行距離やオイルの色を確認してブレーキオイルの交換時期を判断する方法、オイル交換時の費用を解説します。
ブレーキは「油圧」といわれる仕組みを使い作動しています。ドライバーがブレーキを踏むと、ブレーキオイルに圧力がかかりピストンが押されます。ピストンを押し込んだ際に、その力を油圧でブレーキパッドなどに伝えることでタイヤを止めるという仕組みです。
この圧力をブレーキ部品全体に伝えるのがブレーキオイルです。ブレーキオイルが正常にピストンを押すことでブレーキキャリパーやブレーキパッドに高い圧力がかかり、ブレーキが作動します。
前述のとおり、ブレーキオイルはブレーキを作動させるために必要な部品の一つです。定期的な交換が推奨されていますが、ブレーキが正常に効いていれば必ずしも車検時にブレーキオイルを交換する必要はありません。
しかし、ブレーキオイルは経年劣化するものなので、車検時に交換しておくと安心です。日頃ブレーキオイルを特に気にしていない方は、車検時の定期点検で交換を勧められることも多いでしょう。
ちなみに、ブレーキオイルは実は一般的なオイルではなく、不燃性で沸点が高いポリエチレングリコールモノメチルエーテルというアルコール系の液体が使用されています。そのためオイルではなく「ブレーキフルード」や「ブレーキ液」と呼ばれることもあります。
ブレーキオイルは長期間交換しないと、ブレーキの故障や走行中に急にブレーキが効かなくなるリスクが高まり非常に危険です。ブレーキオイルの交換時期は、走行距離や使用期間、ブレーキオイルの色などで判断できます。
走行距離で判断する場合、一般的に1万km前後になったら交換したほうが良いといわれています。1万km近く走行しているとブレーキオイルが劣化してくるので、ブレーキの効き方が弱まったり、踏んだ時にフワフワした感触になったりしてきます。そのような症状を感じたら、早めに交換しましょう。 ただし、運転の頻度や車が置かれている環境、運転の仕方によっても交換時期が異なるため注意しましょう。
ブレーキオイルは、あまり頻繁に乗らない車でも劣化している場合があり、使用期間で判断する場合は2年程度で交換するのが最適といわれています。
ブレーキオイルは劣化すると変色するので、色で判断することも可能です。交換したての新しいブレーキオイルは透明〜薄い黄色ですが、酸化やピストンのサビなどで徐々に茶色〜黒っぽく変色します。目視して色が濁っていたら交換時期です。
前輪駆動・右ハンドルの車の場合、一般的にブレーキオイルはエンジンルーム内、ボンネットを開けた右側に入っています。半透明のタンクに入っていますので、タンクの外から簡単に色の確認ができます。黒っぽくなる前に必ず交換しましょう。
ブレーキオイルはどのようなタイミングで交換するのが最適なのでしょうか? タイミングごとのメリットやデメリット、費用目安を見ていきます。
車検時にブレーキオイルを交換する場合、単品での交換より費用を抑えられるケースがあります。ブレーキオイルを交換するためには車を持ち上げてタイヤを外し、ジャッキスタンドで支える必要があります。しかし、車検時にはすでに車を持ち上げて整備・検査しているので、同時に交換してもらえれば作業の手間が減り、作業工賃も通常時より安くなる仕組みです。
しかし、走行距離が長い方の場合、車検が行われる2年間隔だとブレーキオイルの劣化が進んでしまい危険な可能性もあります。走行距離が長い方は車検時以外の交換も視野に入れておきましょう。
ブレーキの効きが悪くなっていると国の定めた保安基準を満たしていないと判断され、車検に通らない可能性があります。車検に合格できないかもしれないほどブレーキが不調な時は、車検前にブレーキの点検・整備をしておくと安心です。車検時に行うより費用は高くなる傾向にありますが、ブレーキパッドの交換など、関連する整備も一緒に頼めるため安心です。
なお、新車購入時は初回の車検まで3年あるので、走行距離が長い方は車検前に交換するほうが安心かもしれません。
車検に合格するブレーキパッドの基準や交換の目安はこちらの記事で解説しています。
「車検に合格するブレーキパッドの基準とは?交換目安や費用も解説」
車検時にはブレーキオイルを交換しなかったものの、徐々に劣化が進み交換したくなる場合もあるでしょう。車検後にブレーキオイルだけ交換する場合は、作業費用とブレーキオイル本体の費用がかかります。ディーラーで交換する場合は1万円前後、カー用品店やガソリンスタンドなどで交換する場合は5,000円〜が費用の目安です。
車検時のブレーキオイル交換費用の目安は、新しいブレーキオイル代+車検時の作業工賃がかかると考えましょう。ブレーキオイル代(部品代金)は、使用数量(ℓ)により変動しますが、ディーラー車検の場合は正規品を使うので2,000円前後、大手中古車販売店やカー用品店、ガソリンスタンド、整備工場での車検時に交換してもらう場合は1,000円台で交換してもらえます。
ブレーキオイルは種類によって価格が異なります。アメリカ運輸省が定めた規格DOTで区別されることが多く、ディーラーではDOT4、カー用品店などではDOT3を使用していることが多くなっています。その差が価格にも反映されています。DOT4のほうが沸点が高く性能が良いですが、DOT3でも十分な性能といえるでしょう。
ブレーキオイルに使用されているグリコールは吸湿性が高く、空気中の酸素から水分を吸収してしまう性質があります。水分を含んだブレーキオイルは沸点が下がるため、ブレーキ作動時に発生する熱でブレーキオイルが沸騰しやすくなってしまいます。ブレーキオイルが沸騰するとシリンダー内に気泡が発生し、シリンダー内にその気泡が溜まると油圧が働かなくなり、ブレーキが効かなくなってしまいます。これをベーパーロック現象といいます。長い坂道などをフットブレーキだけで降りた時などに起こりやすい現象ですが、ブレーキオイルが劣化していると沸点が下がっているためさらにリスクが高まります。
車検時など、適切な時期にブレーキオイルを交換しないと、急なブレーキの故障による自動車事故につながりかねません。車検時など適切な時期に交換して事故のリスクを軽減させましょう。
ブレーキオイルの交換は、4つすべてのタイヤを取り外し、ジャッキスタンドで持ち上げ、エア抜き作業をしなくてはいけません。かなり専門的な知識が必要な作業になりますので、プロに依頼しましょう。ブレーキオイルの交換作業だけを店舗に依頼した場合、短時間で作業が終わります。作業内容は以下のとおりです。
ブレーキオイルが車体に付着すると塗装面がダメージを受けてしまいます。もし付着した場合は、ブレーキオイルクリーナーで優しく拭き取りましょう。
なお、車検時のオイル交換については、こちらの記事で解説していますので、ご参考ください。
「車検時のオイル交換は本当に必要?適切な交換時期や点検方法を解説」
ブレーキオイルはブレーキを正常に作動させるために重要な部品です。ベーパーロック現象の原因となるなど、劣化による走行上の危険が高まります。ブレーキオイルは適切な時期に交換しましょう。
車検時にブレーキオイルを交換するなら、ぜひWECARSの安心WE!車検をお試しください。